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    慰みの郷愁 〜社会思想社のゲームブック〜


「ウォーロック」誌

 詳しい年代は忘れた(社会思想社のホームページでも見てくれ…って、もう倒産したしなぁ)が、ゲームブックマガジンなるものが1年くらい続いて、その跡を継いで、ファイティングファンタジーファンのための雑誌として、編集長・多摩豊、監修・安田均という体制で創刊された。当初はイギリスのウォーロック誌の翻訳版と言う感じだったが、1年も経たないうちにオリジナル色が増えていき、FFの記事もだんだん減っていった。8号あたりで冒険企画局が結成されたな。その後T&Tのサポート誌としてしばらく続き(京大・SNE組が担当)、その割に「セル・アーネイ」なるオリジナル世界設定(慶大・HQ組が担当)にも力を入れてた。結局この両者は融合し、洞窟探検専門ドタバタゲームのシステムで、シリアスでヒストリカルな展開をする世界をプレイする羽目になった。まあ面白かったから別に良かったけどね。セル・アーネイの文庫化って話もあったらしいけど、中途半端に終わってしまいましたね。薄っぺらい代わりに中身が凝縮されていた、オレにとっては一番充実していた時期だ。
 安田均が監修を降り、多摩豊に変わって冒険企画局の近藤功司が編集長に代わると、雑誌の雰囲気は冒険企画局一色に染まり、サッカリン漬けの甘ったるファンタジー雑誌になっていった。「編集部からの挑戦」などの人気コーナーも目に見えてつまんなくなっていったので、しばらくすると打ち切られていた。このころ、オレは惰性で購読してたけど、大学受験とかあったんでいったん買うのをやめた。
 1年くらいブランクがあった後で久しぶりに本屋で立ち読むと、これがびっくり横書きだった本が縦書きになりすっかり様変わりしていた(薄さは相変わらずだが・・・)。中身の方は、今度はすっかりウォーハンマー(TRPG)雑誌に変身していた。でももう興味なかったんでほっといたら、いつの間にか休刊しちゃってた。ウォーハンマーの死霊じゃなくて資料として買っときゃ良かったと後悔の日々。
 一貫してゲームブックの記事は絶やさなかったけれど、FFシリーズ全肯定みたいな姿勢は鼻についたなー。その一方で創元の本は不当に低い扱いだった。両社はFFの扱いについてぎこちない関係があったからな(オレにはそう見えたぞ)。ジャンル唯一のオピニオンリーダーがこんな歪んだ情報を流してんだから、そりゃー衰退するわなと思ってたけど、今にして思えばあんまし関係なかったかな。


Fighting Fantasyシリーズ

 1982年にスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンが共同執筆した(前半をS・ジャクソンが、後半をI・リビングストンが担当したらしい。意外だ・・・逆だろ!?)「火吹き山の魔法使い」は全世界でベストセラーを記録し、ここにFighting Fantasyシリーズがゲームブックというジャンルごと誕生する。
 それぞれの作品に対する詳しい解説・批評は安田均の「ゲームブックの愉しみ方」と言う本で詳しく述べられている。元々ウォーロックに連載していたが、すごくレヴェルの高い内容で感心してしまう。とはいえ、「タイタン」や「モンスター事典」もゲームブックである、という先生の説には賛成しかねるが。

 個人的なランキングをつけるとしたら

 1位 サソリ沼の迷路 87点
 GURPSでおなじみのスティーブ・ジャクソン(米)が作者。珍しく双方向で移動でき、善・悪・中立という古典的分類によるマルチミッションが特徴。こんなに魅力的なキャラクタが揃っている洋モノも珍しい。もちろんゲームも抜群の出来だ。

 2位 地獄の館 86点
 著者S・ジャクソン。とにかく死ぬ。すぐに死ぬ。恐怖点で死ぬ。技術点6のゾンビに殺される。でも面白い。死ねば死ぬほど挑戦意欲をかき立てられる傑作。

 3位 盗賊都市 74点
 著者I・リビングストン(おお、綺麗に3人並んだ)。この作品を皮切りにシリーズの背景世界「タイタン」が、ちょっとずつ語られるようになる。アズール卿がかっこいい。

 4位 サイボーグを倒せ 73点
 S・ジャクソンの現代SFモノ。今見るとかなりレトロな感じだが、随所で結構笑えるので全然OK。しかしこの人はFFシリーズにおける400パラグラフリミットを完全に無視してるな・・・。

 5位 最後の戦士 70点
 「タイタン」の編集者マーク・ガスコインが作者。いきなり表紙でリザードマンがプテラノドンに乗って空飛んでます。リザードマン帝国の侵略から祖国を救うという派手なストーリー、ハリウッドっぽい展開になにも考えずに楽しめる。

 ってとこかな。ちなみにシリーズ全部をプレイしたわけではないのであしからず。でもこの5冊はおすすめっすよ。あと全般的に、カヴァーアートが立派な割に、挿し絵のイラストは最低。


オリジナルゲームブック

 モンスターの逆襲 67点
 プレイヤーはゴブリンとなり、魔法の宝石の力を得てより強いモンスターに変身し、故郷を焼き尽くした人間にリベンジ! というお話。パラグラフの構造とか、ゲームバランスとかすごく計算して作ってあるのはよくわかる。D&Dのモンスターがこれほどヴァリエーション豊かに登場するのもこの本ぐらいだろう。ただ、作者の山本弘がわりと超然とした文章で進めるので、いまいちノリ切れない。今みたいに、もっとエモーショナルな文を書いて欲しかった。

 四人のキング (「キング」70点、「クイーン」81点、「ジャック」56点)
 これも山本弘著作。この人のゲーム性を重視する姿勢は、ふつうのゲームブックより、こういったパーティーゲームとかの方が向いてるかもしれない。「四人のクイーン」がウォーロックに掲載されたときは若さにまかせてやり狂ったなあ。慣れてくると全てのプレイヤーが殺し合いを始めるところが恐ろしい。書き下ろしの「四人のジャック」がついててお得(でもこれは駄作だ・・・)。


 


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